会長挨拶
第48回日本神経心理学会学術集会
会長 村井 俊哉
(京都大学大学院医学研究科 精神医学 教授)
この度、第48回日本神経心理学会学術集会を京都で開催させていただくことになりました。近藤正樹副大会長、月浦崇プログラム委員長、上田敬太事務局長、そして京都で活動する専門職を中心に多くの会員の皆様の協力を得つつ、すべての参加者にとって実りある大会を目指してまいります。
学会に出向かないと学術情報が手に入らない、という時代ではもはやなくなっています。しかしそれでも、対面で議論することの意義を、このポストコロナの時代に皆さん強く感じておられることと思います。私自身、学術集会で何を楽しみにしているかと言えば、情報そのものよりも、演者のお人柄、抄録には印刷されていない発表者の本音、質疑応答での臨機応変のやりとり、プログラムの合間での参加者との議論、あとはプログラム終了後の三々五々の懇親の場です。
学術集会で私が楽しみにしているこうしたことがらを一言にまとめると何なのか、と考えたところ、「匠」の一文字が思い浮かびました。診断の「匠」、患者さんとのかかわり方の「匠」、研究デザインの「匠」など、「匠」には、様々な側面がありますが、学会終了後には、こうした様々な「匠」を手に帰路につくことになります。
神経科学領域の臨床・基礎の関連学会は数多く存在し、私自身、多数の学会に所属しています。しかし、多数の学会の中でも、日本神経心理学会は「匠」のワードが最も似合う学会だと感じています。本学会の会員歴の長い先生方の多くも、このような私の意見にきっと同意していただけるのではないでしょうか。
本学会は、私自身は精神科医ですが、脳神経内科、脳神経外科、リハビリテーション科など、多数の診療科が支える診療科横断的な学会です。また、作業療法士、言語聴覚士、公認心理師などの様々な専門職も、学会運営全般にかかわっています。基礎神経科学および情報科学の研究者のコミットメントも大きく、学術大会は、臨床中心の専門職と研究中心の専門職が、同じ土俵で自由に討論できる貴重な場となっています。
これまで本学会に参加されたことのなかった方も、この機会にご参加を検討いただき、本学会の学際的な雰囲気を是非体感してみてください。学生さんなどこれから神経心理学を学ぼうという方の参加ももちろん大歓迎です。
開催地の京都の魅力は、これはもうお伝えしなくても大丈夫かと思います。一点だけ誤解のないように申しますと、観光客でごったがえしている、という噂が流れていますが、それほどでもありません。たしかに観光客は多いですが、魅力あるスポットが無数にあるので、皆さんそれぞれ思い思いの静かな京都を楽しんでいただけることと思います。
では、2024年9月、京都でお会いしましょう!